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1. なぜ、売上アップにリサーチは必要なのか
売上改善の時、多くの企業、担当者の方は「他社のうまくいっている施策を真似する」ことを行う傾向があります。
それそのものは、アクションする価値があると思いますが、問題はその施策が何のリサーチ結果に基づいているのか、どうユーザーに認識してもらいたいからなのかの前提がないまま行うことが良くないのです。
特定の製品やサービスは「誰かに喜んでもらえる」ものです。他社ではなく、なぜあなたの製品を買ったほうが得なのか、これをクリアにし、訴求するために、ユーザーのこと、自社のことを理解せず販売行為を行うことは、ある種の押し売り状態となるのです。
押し売りをせず、欲しい人に届けるためにも、情報を抽出することは絶対に行ってください。マーケティング戦略はリサーチをベースに、戦略をたてて、戦略に基づいて施策を行う全体像を言います。
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1-1. マーケティング戦略の3ステップ
環境分析:これからビジネスする世界はどんなところか調べる
戦略:誰向けに、どう思われるのかを作る
施策:どんな手段で勝ちにいくのかを考える
の3つとなります。
よくデジタルでもデジタル以外のマーケティングでは、事例セミナーが行われますが、そこで他社の施策ノウハウをマネしたところで再現ができないのは、前提となる戦略、リサーチ結果が異なるからです。
施策は、戦略に基づいてアクションしたほうが良いですし、戦略(ターゲットやブランド設計)はリサーチ結果に基づいて設計することで、より的確な施策、改善が浮き彫りになります。
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1-2. これまでのマーケティングとこれからのマーケティング
マーケティングはフィリップコトラーさんの本で1.0~4.0についての内容が記載されておりますが、細かいことを割愛してお話します。
昔は、いわゆる「良い商品を作れば」売れた時代がありました。ただ、今はスマートフォンの普及、インターネットの普及で情報が簡単に取得できるようになったこともあり、良い商品がたくさん作られる時代です。
なので、消費者、ユーザーから見た時にどれもいい製品なので、どれが自分にあうかわからないのです。
つまり、なぜマーケティングが必要かというと消費者が「どれを選んでよいかわからない」状態に陥るので、あなたにとって今一番必要なのはこれです!と教えてあげないと、納得して購買行動を起こしてくれないからです。
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1-3. 売上をあげるマーケティングとは
売上をあげるマーケティングとは、上記にも少し記載しましたが、「欲しい人」に「必要なもの」を届けてあげるアクションがどれだけ取れているかというところです。
ペットボトルのお茶1つとっても、目をつぶって飲んでみれば、何がどこのメーカーか、どんなブランドか断定は難しいです。
ただ、例えば在宅時間の増加に伴って運動不足になり、少々肥満気味になった方であれば、「体脂肪をへらす」というコピー1つで特茶の優位性は大きく上がるわけです。
売上をあげるマーケティングは、なぜこれが自分にとって必要なのかがクリアです。
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2. 環境分析とリサーチ
環境分析は、戦略設計の参考、根拠となるいわば事実に基づいた勝ち筋を見出すためのアクションとも言えます。
そのために、リサーチというものを行うわけですが、このリサーチはただネットで「興味がありそうな人」を調べるのではなく、今はどんな世の中で、その市場にいる人は何に関心があって、事実どんな行動があるのか。
その中から、機会と脅威を抽出して、戦略へのヒントとしてください。
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2-1. 環境分析とは
環境分析とは、いわゆる状況把握になります。そのためのリサーチも環境分析の一種です。
環境分析の方法はいくつかありますが、目的はいくつかあります。
1つ目は、事実を抽出し、自社は何ができるのかを明確にすること。
2つ目は、世の中のユーザー、消費者は何を求めているのかを明確にし、自社のサービスとマッチするかを検証、推察すること。
3つ目は、戦略上絞るべきターゲット、訴求すべきメッセージ、認識されたいブランドを明確にするため
となります。人によっていくつか言い方、認識の仕方に誤差はありますが、おおよそこちらの3点が目的となります。
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2-2. ミクロ環境分析
ミクロ環境分析は、特定の市場の中において、世の中の消費者、ユーザーがどんな顕在化した行動傾向があるのか、好みがあるのかを主に特定します。
特定のブランド地ビールを売る場合、そもそもアルコール市場においてどんな人が飲むのか、誰が飲まないのか。アルコール市場の中にあるビール市場においては、どんな人が飲むのか。さらに、ビール市場の中にある地ビール市場では、どんな人が飲むのか?それは観光客なのか?贈呈用なのか?などです。
こちらもマクロ環境分析同様、それぞれ「機会」と「脅威」を自社製品、サービスと照らし合わせて情報抽出する必要があります。
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2-3. マクロ環境分析
マクロ環境分析は、代表的なものとしてPEST分析などがあげられます。
例えば、災害や病気感染、インフラの普及、技術の進歩などで世の中の方向性はどんどん変わっていきます。
こうした不可抗力の世界において、世の中はどっちの方向に向かうのかをしる必要性があります。
イメージとしては、これからの世の中はAというルートで進む可能性があるのか、もしくは、Bなのか、Cなのか、これらを明確にします。
ただ明確にするだけではなく、これらの情報から、あなたの製品やサービスにとってどのような「機会」があるのか、どんな「脅威」があるのかまで抽出する必要があります。
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2-4. 競合分析
環境分析において着地したいものは、競合の定義と差別化ポイントが何かです。
競合分析は、シンプルに似たような製品をあげるでは物足りません。
例えば、とあるユーザーが「涼しくなりたい」というニーズがあれば、涼しいスーパーに駆け込む、アイスを食べる、冷たい飲み物を飲むなど選択肢はあります。
このユーザーが達成したい目的に合わせて競合を定義し、抽出する必要があります。
ユーザーにとって何かの目的達成をするために検討するものがあれば、その中でどんなトレードオフが行われるのか、どこが一番の購入トリガーなのかも意識しながら、差別化の設計をします。
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3. リサーチ後にとるべきアクション
リサーチ、環境分析である程度状況把握ができるようになりましたら、ここからは攻めのマーケティングとなります。どんな人に、どう思われるために、何をするのか、これを考えていきます。
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3-1. ユーザーを見極めること
あなたの製品、サービスを理想の人に届けるために、より理想のユーザー像をクリアにする必要があります。1度のリサーチですべてクリアになるものではなく、ある程度のテストマーケティングを繰り返す中でこれは徐々に解像度があがることもあります。
解像度をあげるための手段として、STP分析というものがありますが、どんな市場にいる人なのか、人をプロットし、ペルソナというより詳細なユーザー設定、言い換えると理想のユーザー像の可視化がまずは肝になります。
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3-2. 魅力的なポジション設計をすること
他の競合製品を比較したとき、ターゲット・ペルソナにとってあなたの製品が魅力的にみえる位置付けを作るポジショニング設計があります。
ポジションを明確にすることで、似たような製品でも、場面、シチュエーション、感情に応じてユーザーがあなたの製品を使い分けたりに、認識してもらえるようになります。
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3-3. ブランドをつくること
ここまでの流れで、誰にとって魅力的な製品かがクリアになりましたが、よりファン化をしてもらうために、「ブランド」を作る、ブランディングをするというアクションになります。
ブランドについては、記載したいことがありますが、強いブランドの効力は絶大です。ブランド認知があれば、とある場面において信頼を置いているブランドにユーザーさんは傾きます。
強いブランドがあれば、iPhoneなどもそうですが、具体的な優れている機能がわからなくても、なんかイケてる!という感覚的な選択を生むことになり、競合製品との検討において勝てる可能性がより上がります。
ただ、これらはすべてリサーチ段階で、自社ができること、他社が行っていること、ユーザーの好み、競合との比較や勝ち筋が明確だからこそできるアクションだということを、是非覚えてください。
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4. まとめ
この記事では、なぜ売上をあげるためにリサーチが大事なのかを記載しました。
世の中の製品の制度があがったり、ユーザーの情報取得レベルが上がっている以上、あなたの製品が選択される難易度はどんどん上がっていきます。
だからこそ、用意周到に製品、サービス設計をし、正しい改善やプロモーションを愚直に粘って行う企業こそ売上を出すわけですが、これらの作業を模索しながら、独学しながら行うのは非常に時間と思考コストを要します。
そこで、プロのマーケターやコンサルタントに相談、依頼するのは一つの方法だと思いますが、そのマーケターが信頼に足る人物かどうかはこの記事のことを覚えるだけでも、的確なジャッジポイントになります。
私もマーケティング支援を行うコンサルタントとして活動し、多くの企業や事業者様の売上改善において経験を積んできましたが、自分の領域外のことはやはりプロに相談すると、改善スピードは段違いでした。
結果、テストしたり検証する時間、リソース、それに費やす人件費の無駄を減らすことに繋がりました。
私一人ではなく、他にもマーケティングにおいて、泥臭く愚直に実績を出してきたチーム、仲間もおりますので、是非お困りの際は一度ご相談いただけましたら幸いです。